家事の時間はどこへ行ったのか
「家事の時間はどこへ行ったのか」は、EMENDIA が書き下ろした中学受験の作文・小論文の例題(PISA型・小5向け・目安50分)です。文章と資料(表・グラフ・会話)を組み合わせて考える練習になります。
対象 小5レベル2・理由を書くPISA型目安 50分
原稿用紙に書いた答案の写真を送ると、AI の添削がこう返ってきます。

返事は、別の問題の答案につけた見本です。この問題も、同じ形で添削します。1回払いで、自動では続きません。
場面
ゆうきさんの学級では、総合的な学習の時間に「機械と人の仕事」について調べています。先生が、ある家庭の家事の時間と、家庭で使う機械の広がりを示す二つの資料を配りました。
文章
文章 道具と相棒
わたしの家の玄関には、古い掃除機と、去年やってきた丸いロボット掃除機が並んでいる。古い方は、わたしが動かさなければ一ミリも動かない。新しい方は、朝八時になると自分で部屋を回り、すみのほこりを吸い、電池が減ると勝手に基地へ帰っていく。ある日、ロボットがソファの下で動けなくなって、ピーピーと鳴いた。助け出したとき、わたしは思わず「大丈夫?」と声をかけていた。古い掃除機に、そんな言葉をかけたことは一度もない。
この違いはどこから来るのだろう。古い掃除機は「道具」だ。道具は人の手の延長であり、使う人の意志どおりに動く。一方、ロボット掃除機は自分で判断して動く。だから、わたしたちはつい、それを「相棒」のように感じてしまう。判断する機械は、道具ではなく仲間のように見えるのだ。
いま、工場だけでなく、病院や学校、コンビニでも、判断する機械が働き始めている。文章を書く人工知能も、絵をかく人工知能もある。「人の仕事がなくなる」と心配する声も多い。けれども、少し立ち止まって考えたい。ロボット掃除機がほこりを吸っている間、わたしは何をしているだろう。宿題をしたり、妹と話したり、窓の外の雲をながめたりしている。機械が引き受けてくれた時間で、人は別のことをしているのだ。
大切なのは、その「別のこと」の中身だと思う。機械は、決められた目的のために、速く、正確に、疲れずに働く。しかし、そもそも何を目的にするのか、だれのために働くのか、失敗した仲間にどんな言葉をかけるのかを決めるのは、いまのところ人間だ。「大丈夫?」と声をかけたあの瞬間、わたしは道具を使っていたのではなく、だれかを気づかっていた。そこにこそ、人にしかできないことの手がかりがある気がする。
機械をこわがる必要も、むやみにほめたたえる必要もない。問うべきなのは「機械に何ができるか」ではなく、「機械が働いている間に、わたしは何をする人でありたいか」なのだ。
言葉の意味
- 延長: のばしたもの。ここでは「手の延長」で、手の働きをのばして助けるもの、という意味。
- 意志: こうしよう、と自分で決める心の働き。
- 人工知能: コンピューターが、人のように考えたり判断したりする仕組み。AIともいう。
- 気づかう: 相手のことを心配して、思いやること。
資料
資料1 ある家庭で、1日の家事などにかかった時間の変化(架空)
| 1990年 | 2005年 | 2020年 | |
|---|---|---|---|
| そうじ | 40 | 30 | 15 |
| せんたく | 50 | 30 | 25 |
| 食事のしたく | 90 | 80 | 60 |
| 家族と話す時間 | 30 | 35 | 50 |
単位: 分
上の三つが家事。いちばん下は家事ではなく、家族と話した時間。
※この資料は学習のために作った架空のデータです。
資料2 家庭にある機械の割合の変化(100世帯のうち、持っている世帯の数。架空)
折れ線グラフの数値を表にしたものです(アプリで印刷すると図で出ます)。
| 1990年 | 2005年 | 2020年 | |
|---|---|---|---|
| ロボット掃除機 | 0 | 2 | 40 |
| 食器洗い機 | 5 | 20 | 40 |
| かんそう機つき洗濯機 | 3 | 30 | 45 |
単位: 世帯
どの機械が、いつ広がったのだろう。
※この資料は学習のために作った架空のデータです。
資料3 資料を見たゆうきさんたちの会話
- ゆうき資料1を見ると、家事の時間はどれも減っているね。
- みどり家族と話す時間はふえているよ。家事が減ったぶんが、そのまま話す時間になったのかな。
- 先生本当にそう言えるかな。減った時間と、ふえた時間を、数字で比べてごらん。
- ゆうきそれと、資料2の三つの機械のうち、そうじの時間の減り方と関係がありそうなのはどれだろう。
- みどり2005年から2020年の間に大きく広がった機械があるね。
問題
問1(40字)
筆者は、古い掃除機を「道具」、ロボット掃除機を「相棒」のようだと述べています。筆者がこの二つを分けて考えた理由を、本文の言葉を使って四十字以内で説明しなさい。
条件
- 本文の言葉を使う
- 四十字以内で書く
採点で見るところ: 要点の網羅、本文との対応、字数・表記
問2(80字)
資料1で、家事にかかった時間の合計は、1990年から2020年にかけて何分減りましたか。また、その減った時間のうち、「家族と話す時間」のふえた分は何%にあたりますか。計算の式を書いて、八十字以内で答えなさい。
条件
- 家事の合計は、そうじ・せんたく・食事のしたくの三つで計算する
- 計算の式を書く
- 八十字以内で書く
採点で見るところ: 数値の正確さ、計算の根拠、表記
問3(80字)
資料3でゆうきさんは「そうじの時間の減り方と関係がありそうな機械」を探しています。資料1と資料2の両方の数値を使って、それがどの機械で、なぜそう言えるのかを、八十字以内で説明しなさい。
条件
- 機械の名前を書く
- 資料1の数値と資料2の数値を一つずつ使う
- 八十字以内で書く
採点で見るところ: 機械の特定、二つの資料の対応、表現・字数
問4(400字)
筆者は「機械が働いている間に、わたしは何をする人でありたいか」と問いかけています。資料1の数値と資料3の先生の言葉もふまえて、これからの社会で「人にしかできないこと」とは何だと、あなたは考えますか。あなたの体験や見聞きしたことを一つ挙げて、四百字以内で書きなさい。
条件
- 三段落で書く
- 「人にしかできないこと」を一つに決めて、はじめの段落で示す
- 自分の体験か見聞きしたことを一つ、具体的に書く
- 本文の言葉と資料1の数値を一つずつ使う
- 三百二十字以上、四百字以内で書く
採点で見るところ: 課題への対応、根拠と具体例、構成、表現・表記、条件の充足
考え方のヒント
①資料は「一目で読める」と思わず、まず単位と何の数かを確かめる(資料2は台数ではなく「持っている世帯の数」)。②問2は、合計→差→ふえた分→割合の順に式を書く。みどりさんの「そのまま話す時間になった」が数字では四分の一だとわかる。③問3は「いつ」をそろえて、二つの資料の同じ時期の動きを並べる。関係がありそう、と言い、原因だと決めつけない。④問4は、問いを自分の言葉で言い換え、立場を一言で決める→本文のヒント(気づかう、目的を決める)→自分の体験を一場面→資料1の数値を一つ→反対の見方に一言→最初と同じ言葉で結ぶ。
模範解答の例(問4)
答えは一つではありません。字数・条件の守り方と、組み立ての参考にしてください。
この問題を原稿用紙に書いて、写真を送ると数分で添削が返ります。
EMENDIA は、中学受験の作文・小論文を家庭で練習するサービスです。毎朝、書き下ろしの問題が届き、原稿用紙に手で書いた答案の写真を送ると、AI が「どこを、どう直せばよいか」まで添削します。
いまは500円で1枚だけ試せます。1回払いで、自動で続くことはありません(14日のうちに1枚)。
500円で1枚だけ試すほかの例題
- くつを そろえた 日小2・レベル0・作文のたね(入門)・20分
- 雨の日、虫はどこにいる?小3・レベル1・体験を書く・25分
- 給食の残りは、だれが、いつ残しているのか小5・レベル3・標準(公立中高一貫の適性検査Ⅱ)・45分
- 避難所の備蓄は、何日分あるのか小5・レベル4・発展(難関校・受験直前期)・50分
- 本屋が減ると、何が減るのか小5・レベル4・発展(難関校・受験直前期)・50分
- 手を出さない人たち小5・レベル3・標準(公立中高一貫の適性検査Ⅱ)・45分
- 応援旗のすみっこ小5・レベル3・標準(公立中高一貫の適性検査Ⅱ)・45分
- つりあう二つの箱小5・レベル3・標準(公立中高一貫の適性検査Ⅱ)・45分
- 短くなった鉛筆小5・レベル3・標準(公立中高一貫の適性検査Ⅱ)・45分
この問題は EMENDIA が書き下ろしたものです。資料の数値は学習のために作った架空のものです(資料に明記しています)。会員向けに出してから1週間たった問題の一部を、無料で公開しています(公開日 2026年9月15日)。