応援旗のすみっこ
「応援旗のすみっこ」は、EMENDIA が書き下ろした中学受験の作文・小論文の例題(記述型・小5向け・目安45分)です。二つの文章をふまえて、縦書きで自分の考えを書く練習になります。
対象 小5レベル3・標準(公立中高一貫の適性検査Ⅱ)記述型目安 45分
原稿用紙に書いた答案の写真を送ると、AI の添削がこう返ってきます。

返事は、別の問題の答案につけた見本です。この問題も、同じ形で添削します。1回払いで、自動では続きません。
文章
文章 応援旗のすみっこ
運動会まで、あと二週間だった。六年一組は赤組で、教室の後ろには、まだ白いままの応援旗が広げてあった。縦一メートル、横二メートルの布だ。
旗の絵は、話し合いで、みなみが描くことに決まった。みなみは学年でいちばん絵がうまい。去年の市のコンクールで賞をもらったこともある。決まったとき、みなみは少し困った顔をして、それから「がんばる」と言った。
最初の三日間は、放課後に十人くらいが残った。みなみが鉛筆で下がきをして、ほかの子が絵の具を出したり、布をおさえたりした。ぼくもその中にいた。けれど、四日目、みなみが「ここ、もう少し細く」と言って、ぼくの塗ったほのおの先を、上から塗り直した。ぼくは何も言わなかった。ただ、その日から、ぼくの手はあまり動かなくなった。
五日目には、残る人が六人になった。一週間たつと、三人になった。みなみと、はると、それに、なぜか帰らずにいるぼくだ。はるとは、みなみが言うとおりに絵の具を混ぜる係をしていた。ぼくは、旗のすみっこに、小さく赤組のマークを描くことになっていた。三日かけても、まだ下がきのままだった。
その日の放課後、担任の川田先生が教室に入ってきた。先生は旗の前にしゃがみこんで、ずいぶん長いあいだ、何も言わずに見ていた。竜の顔はもうほとんどできあがっていて、うろこの一枚一枚に、光の当たり方まで描きこんであった。
「すごいな」と先生は言った。みなみは、筆を持ったまま、小さくうなずいた。
それから先生は、ぼくのほうを見た。ぼくの前には、下がきだけのマークがある。先生は、その下がきと、竜の顔とを、かわるがわる見た。
「この旗、みなみさんの作品としては百点だ」
先生はそう言って、立ち上がった。
「でも、一組の応援旗としては、まだ真っ白だな」
みなみの筆が止まった。はるとが、絵の具の皿を持ったまま、先生を見た。ぼくは、先生が何を言ったのか、すぐには分からなかった。旗はもう、ほとんど赤と金色でうまっている。真っ白なところなんて、ぼくのすみっこくらいしかない。
先生は、それ以上なにも言わずに、教室を出ていった。
しばらく、だれも動かなかった。みなみが、筆を置いた。それから、旗のすみっこの、ぼくの下がきのところまで来て、しゃがんだ。
「……ここ、どう描くつもりだったの」
みなみの声は、いつもより小さかった。ぼくは、思っていたことを言った。マークのまわりに、クラス全員の名前を、小さく入れたかったのだと。三十一人分。字が小さくなるから、みなみに笑われると思って、言えなかったのだと。
みなみは、しばらく下がきを見ていた。それから、はるとに向かって言った。
「明日、みんなに声かけてくれる? 名前、自分で書いてもらうから」
はるとは、皿を置いて、大きくうなずいた。
次の日の放課後、教室には、二十六人が残った。
言葉の意味
- 下がき: 本番の前に、うすく形をかいておくこと。
- うろこ: 魚や竜の体をおおう、小さな板のようなもの。
問題
問1(80字)
川田先生は「一組の応援旗としては、まだ真っ白だな」と言いました。先生はこの言葉で、何が足りないと伝えたかったのだと考えられますか。八十字以内で書きなさい。ただし、一字あけずに、段落での改行はしないで続けて書きなさい。
条件
- 先生が伝えたかったことを書く
- 一字あけずに、段落を変えずに続けて書く
- 八十字以内
採点で見るところ: 言葉の意味の読み取り、対比の把握、形式
問2(160字)
放課後に残る人が、十人から三人まで減っていったのはなぜですか。次の二つの点に着目して、それぞれ八十字以内で書きなさい。ただし、一字あけずに、段落での改行はしないで続けて書きなさい。 ①みなみの絵への向き合い方 ②手伝っていた人たちの気持ち
条件
- ①と②のそれぞれについて書く
- それぞれ八十字以内(合わせて百六十字以内)
- 一字あけずに、段落を変えずに続けて書く
採点で見るところ: ①みなみの向き合い方、②手伝う側の気持ち、形式
問3(240字)
あなたがこのクラスの一員で、五日目の放課後に教室に残っていたとしたら、そのあとどのように行動しますか。そうする理由もふくめて、二百二十字以上二百四十字以内で書きなさい。ただし、一字あけずに、段落での改行はしないで続けて書きなさい。
条件
- 自分がその場にいたらどう行動するかを書く
- そうする理由を書く
- 一字あけずに、段落を変えずに続けて書く
- 二百二十字以上二百四十字以内
採点で見るところ: 行動の具体性、理由と本文との対応、一員としての立場、形式
考え方のヒント
①物語の山は先生の「真っ白」の一言。絵は完成に近いのに「真っ白」と言った意味を、「作品」と「応援旗」の対比でつかむ。②人が減った理由を、みなみの側と手伝う側の両方から読む。どちらかだけを悪者にしない。③問三は「自分ならどうするか」。先生のように一言で気づかせる方法は大人向けなので、クラスの一人としてできる小さな行動にする。④理由は、本文の出来事と結びつける。⑤字数は三問で合計四百字ほど。読むのに十分、問一・問二で十五分、問三で十五分。
模範解答の例(問3)
答えは一つではありません。字数・条件の守り方と、組み立ての参考にしてください。
この問題を原稿用紙に書いて、写真を送ると数分で添削が返ります。
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この問題は EMENDIA が書き下ろしたものです。会員向けに出してから1週間たった問題の一部を、無料で公開しています(公開日 2026年9月19日)。